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直面した現実

2/28(木)

2/23、24の土日はホームへのお引越しであれやこれやと購入してはホームに運び、母の新しい部屋を飾っていった。
ナチュラルカラーでそろえた家具。フォトフレームにはあたし達家族の写真、入所が決まった日、回転寿司で孫2人に挟まれた母の写真、去年の6月に母と行った高野山のバス旅行。そして一つの空きスペースには、春から社会人になるショウゴの晴れ姿の写真を入れる予定。
母も早くその写真が見たい!見たい!とはしゃいでいた。
父の写真は用意しなかった。

「私は大丈夫! 快適、快眠!!」 と笑顔で話す母。
あの日のあたしの安堵感は言い尽くせない。 母を入所させた事の切ない気持ちと天秤にかけても、この「安心」という何にも代えがたい思いは、どんな気持ちにも勝ると思った。

そして、月曜日。母がホームで生活する実質初日・・・・
夜に母からメールがきた。 母はあたしの家で過ごしていた2週間の間にまたメールが打てるようになっていた。
「人しかわからずへこみました。」
ん?? 人しかわからず・・・?
どういう意味だろう、、、って考えて、おそらく、あー、あの人見た事あるな。くらいしかわからず、自分の家じゃないし、勝手がわからず凹みました。そういう意味だろうと推測。
「大丈夫。そのうち慣れるよ!」って返事すると、
ぶぁ~~~~!!!!!!と母から、大量の同じ言葉の繰り返しの支離滅裂なメールが届き、あたしは不安に押しつぶされそうになった。
内容は、「あなたに迷惑はかけたくない。でも、外から見ているのと違って、直面したものにしかわからない!
自分の身の振り方は自分で考える、時間をちょうだい。」
こういった内容だった・・・・。 

次の日、午後、ホームへ様子を見に行った。 
おやつにみなさんとクレープづくりを楽しんでいた。 朝からは、お出かけもしたらしい。
それでも、部屋に戻ると、 「私、もう元気やから家に帰るわ。退所する。」と言う・・・。
相変わらず、父の事が心配だと言う。
母の気持ちはすごくわかる。 まだまだ自分の足で動ける母が、自分より明らかに重度の利用者さんを見てショックを受けたんだろう。 私はここにいるべきじゃない。 自分の家があるのにどうしてここに居なきゃいけないの??
自尊心もプライドも高い母。
お風呂にも全く入ろうとしないらしい・・・。

はぁ・・・・・私は大丈夫!と笑っていたのは何だったの?
気持ちは痛いほどわかる。わかるけど、どうしても家には帰せない。 父との生活には戻せない。
我慢してもらうしかない。 お母さん、ごめんね、という気持ちはあるけど、父との生活よりきっと数百倍、安心なんだよ。
あたしは、なぜ母をホームに入所させようと思ったか、、、その過程をもう一度自分に問いかけて、やっぱり間違っていないと自分に言い聞かせた。
きっと時間が解決してくれる。 何日、何か月かかっても。

obaacyan02.gif 理恵 2019.2.28

今日も様子を見にいったが、やはり「私、頭もすっきりしてきたから退所する!」って言ってた~~
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入所

2/23(土)

母の入所の朝がきた。 
母を引き取った2週間前、途方に暮れた。
仕事は休職。24時間の付き添い・・・ホームの見学開始と同時に母を説得。 何回も何回も。
毎日、必死だったからまるで夢のように思える。

母は朝から落ち着いていた。 
「私は大丈夫。どこへ行っても協調性あるし。誰とでも仲良く出来るし。」と繰り返し言ってた。
夫テツが昼前に単身赴任先から戻ってきてくれて、ランチを王将で食べる。
母は王将の天津飯のミニサイズをペロッと平らげ、ごくごく普通。

ホームの部屋に置くために実家からテレビを持ってきた。
「母のテレビ」 家庭内別居なのでそう呼んでいた。
認知症を発症してからろくにテレビさえ観てなかったのか、、、コンセントさえ抜けていた。
ホームセンターでテレビ台やニトリで家具を買った。 夫テツの意見で淡いナチュラルカラーの家具がホームの床にぴったりマッチして母は喜んだ。

夫テツが部屋のセッティングをしている間、あたしは管理者の方と入所についてのお話し。
「この間は、お電話ありがとうございました。こんなに早く入所できると思ってなかったのでびっくりしました。」と言うと、
「ほんとに。縁って不思議ですね~。」 と管理者の方は笑顔でおっしゃった。
聞いてみると、管理者の方はもうすでにご両親を亡くされていて、お母さまが偶然にうちの母と同い年だったということ。
認知症だったということ。
そういう事もあり、ご自分のお母様と重なって、ひっかかっていたとおっしゃった。
そして、あたしが申込書に 「仕事に復帰したい。」と書いていたこと。 あたしが介護者にしてはまだ若い事。
偶然に、管理者の方もあたしも一人娘で、親の介護はすべて自分に降りかかるという身の上が同じだったこと。
管理者の方が、 
「もしも、うちの親が生きていたら、、、、同じような感じだったかもしれません。 うちの親も、私あっての夫婦って感じで・・・(笑)
 私がいるときは会話するけど、いない時、どうやって夫婦で暮らしているんだろうって思ってましたよ。」と。
なんか、いろんな部分がリンクして、あたしはここに導かれたような気がした。
境遇を理解してくださる。あたしの思いをわかってくださる。 そう思うと涙がぽろぽろあふれて・・・。
入所において申し込みの順番はあるけれど、 必要性という部分と何かしらの縁を感じて決めましたとおっしゃって頂いた。

あたしの頭や心の中にずっとあった黒い黒い腐った泥みたいなものが、すぅーーーっと澄んでいくような気がした。

obaacyan02.gif 2019.2.23
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入所までの1週間

2/22(金)

いきなり入所が決まったのでにわかに忙しく、書類をそろえたり、健康診断に連れて行ったり、買い物したり。
そうやってバタバタと毎日準備していく中で、母は心の整理をして行ったように思う。
自分が老人ホームに入るってことをどれくらい理解しているのか。
繰り返して 「私はどこに行っても大丈夫。協調性あるから。」と言う。
それでいて、また 「お父さんの方が先に老人ホームに入るんちゃう? 私はどこも悪くないからそのうちでええな。」とか言ってみたり、
「あんたの家にこんなに長い事おられへんから、私も自分の身の振り方は考えてるねんで。 一人でやっていけるわ。」 とか言って、そのたびに、また、一人では暮らせないこと、24時間の見守りが必要だということを繰り返して説明する日々だった。

去年の3月に脳のCTを撮って、認知症だと診断を頂いてから、あたしは母の前で 「認知症」という言葉を使ったことがなかった。
傷つけるのも嫌だったし、落ち込むのも見たくなかった。
でも、もうホーム入所という大きな決断が迫ってきてて、母を納得させるには、オブラートに包んで隠していたらだめだと思った。
認知症に侵されていることを説明し、どうして見守りが必要なのかということを本人にまっすぐ説明した。
「それが、、、、私が病気っていうことやねんな。 」 と母は力なげに言った
「そうやで。お母さんは病気やねん。 病気の人は一人ではおれんやろ?誰かに看てもらわな。」 とあたしが言う。
こんなにはっきり本人に告げたのは初めてだった。

入所が決まって3日たった日、また母が、「お父さんにキモチ聞かなあかん。」って言いだした。
えーー!! もう聞いたやんか~。 
って母に言うけど、 「あんたに言うことと、私に言う本音は違うはず。 入所すること、お父さんがどう思ってるか聞かなあかんわ!」って言ってきかない。
仕方なく、実家へ母を連れて行った。
「ご無沙汰で~す・・・・」 ちょっとおどけた言い方で母が父に言う。
父は黙ったまんま。 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

は?? なに? 母、聞かないの? 聞きたいんやろ??
なんなん!! この無言!!

しびれをきらして、あたしが切り出す。
「お母さん! お父さんにキモチ聞きたいんやろ? 聞けば??」 

「ん~~、 もうええわ。やっぱり。 」

はぁーーーーー!!!????

わざわざ来たのに、なんなんよ!もう。

すると父が 「もう人に迷惑をかけるなっ!! 」と またキツイ口調で言う。
母が 「迷惑なんかかけてへんやんか!!」 と反論。
「かけとるやないか!!」

もう、いい、いい!! とあたしが間に入る。 

結局、約53年連れ添った夫婦のこれが最後の会話になった。

obaacyan02.gif 理恵 2019.2.22

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急展開

2/17(日)

今日も夫テツが単身赴任先から戻ってきてくれて、グループホームを見学。
ここも満室。 一応、仮予約はしてきたけど。
どこのホームもそれぞれに一長一短。あたしが気に入っても母の気持ちが重要。だけど・・・
認知症で短期記憶が定着しない母にどうやって感想を聞けばいいのか。
ケアマネさんは、「見学なさった時のお母さんの表情、、、それしかないです。」 とアドバイスしてくれたが、
母はどこのホームを見ても、穏やかで 「ええな!きれいな! 私、どこに行っても協調性あるから大丈夫。」と繰り返すだけだった。

母を預かって1週間。 ホーム入所という本人にとってはまさに青天の霹靂。
急に自分の身の上に起きている事実に対して、あやふやな思考の中で、
そのように落ち着いて、
「私、どこへ行っても大丈夫やで。ここにいつまでもお世話になってる訳にはいかんから。」
という時もあれば、急に思い立ったように、
「さっ! 長い事お邪魔しました。帰るわ~。お父さんのご飯せな。」と言い出して、 えっ!!??ってなる。
毎日、毎日、同じことを何度も説明し、繰り返し、実家での父と二人の生活は限界だということ。
かといって、ここでずっと母を預かっては、あたしが仕事を辞めないといけなくなること。それは、あたし自身が望んでない事。
母が安心、安全に暮らすことが一番大切であること。
それを、日に何度繰り返すか。 本当につらい。切ない。

家に帰って数件のパンフレットを眺めていて、あたしの中でひとつ、頭にひっかかるグループホームがあった。
その雰囲気、職員さんのいきいきとした様子。利用者さんの介護度は比較的軽くお元気な方が多い。
そして何より、管理者の方が繰り返し 「家と同じように。」とおっしゃっていたこと。
「やっぱり、ここがいいねんなぁ・・・でも、満室で待機の方もいたはって。 順番回ってくるなんていつになるか・・・」
と途方にくれていたら、夫テツが、
「その気持ちだけでも伝えてみたら?」というので、
電話で職員の方にすごく気に入ったことを伝え、もし、いつまで待てば、、、という回答を頂ければ、次を探す目安にもなるのでありがたい旨を伝えた。
職員さんは管理者が本日は休みですので明日お気持ち伝えますと言って電話を切られた。

ダメでもともと。

今日は日曜日でめずらしく息子たちも家に居てにぎやかだった。
母が、お世話になりっぱなしで申し訳ないからお寿司をごちそうさせて、と言うので回転ずしを予約した。

夕方、電話が鳴る。ショウゴが出て 「あっ、、、はい、母に代わります。」 と言っている様子で、昼間にあたしがダメもとで気持ちを伝えたホームからの電話だとわかった。
・・・・あ~、そうやんな。 いつまで待てば??みたいなこと聞かれても、そりゃ困るわな。
空きが出たらまた連絡します。そう言われるよなぁ。
心で傷つかないように自分に言い聞かせ電話に出た。
今日はお休みだと聞いていた管理者の方の声だった。そしておっしゃった言葉に耳を疑った。

「お電話ありがとうございました。 ちょっとホームに戻る用事があって。職員からお気持ちを聞きました、あの、急なんですけど、ぜひ入所していただきたいなと思い電話しました。」

・・・・・・・・・・えっ!!?? 

「この前、見学に来られた日から、私の頭の中にずっと娘さんの事がひっかかってて。
 お母さまもまだまだお元気だしね。 これは、縁だと思うんです。」 と・・・。

・・・・・・きゃぁ~~! 嘘ぉぉぉ!! 
「ありがとうございます!! ありがとうございます!!!」  こんなに早く決まるなんて。しかもラブコールを送ったホームに。
あたし達の前に予約入れてた方がきのうの今日でどうなったのか知らないけれど、とにかく決まったぁ!!!
長期戦だと腹をくくっていたけれど、短期決戦で急展開!!
あ~~神よ~~。 

IMG_1282haha.jpg

母との回転ずしが、お祝いになった。 うん!お祝いなんだ。
本人がどう思っているのかわからないけれど、きっとこれが一番いい選択なんだ。 あたしは間違っていない。
そう何度も何度も自分に言い聞かせた。 ふと気が緩むと涙がこぼれそうになるのをぐっとこらえた。
母は、胃がないとは思えないほどたくさん食べた。

obaacyan02.gif 理恵 2019.2.17

孫ふたりに挟まれて母のいい笑顔
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老人ホーム見学

2/16(土)

2/9に母を引き取ったこの時期は、夫テツが単身赴任中で家にいない不安はあったけど、
息子たちが大学の春休み中ということで家に居てくれたということもラッキーだった。
ホーム見学の予約を入れて見に行くときも、近いところはあたしが母がデイサービスに行っている間に自転車で見学に行き、
ちょっと距離がある所は、母も一緒に息子と行った。
今日のように週末は、夫テツが自宅に戻ってきてくれて、見学予約を入れては、母を連れて見に行った。

あたしが一人で行った介護付有料老人ホーム。
すごくきれいで、サービスも行き届いてて、何より管理者の方が、おひとりおひとりの事をよく理解されていたこと。
80人も入所されているのに、細やかなケアがされているんだなぁと感心した。
ちょうど10人くらいのおばあさんがパッチワークをされていた。
全員認知症ですよと聞いて、母があそこに混じっている姿を想像したら、涙があふれた。

しかし、、、、髙いっ
入所時の一時金が360万・・・。 月々の支払はだいたい17万・・・
老人ホームに入りたかったら貯金しとかなあかんで!!
って、よく耳にしたけどほんまなんや・・・と実感。

介護付き有料老人ホーム・・・我が家からも近くて、きれいで、母も安心できるだろうか。
でも、やっぱり、母は約53年、主婦をしてきた人。もっと自分で出来るところはするといった姿勢のホームがあるのではないか。

そこで、次は、グループホームの見学へ。
グループホームとは、認知症の高齢者が専門スタッフの援助を受けながら、9人程度のユニットで共同生活する施設。
それぞれの能力に応じて料理や掃除といった役割を担いながら、自立した生活を目指すので、認知症の進行を遅らせることが期待できる。
少人数でアットホームな介護を行っているので、職員と顔なじみになりやすく、認知症高齢者の混乱を少なくできる。
地域密着型といって、その施設に住民票がある人しか入所できないので、住み慣れた地域から離れず生活できる。

これ!これ! まさにあたしが探していたタイプ。
いくつか見たけど、いいな、と思ったところは待機の方がいらして順番待ち。
自分の順番がいつ回ってくるかわからない。
どなたか、他の施設に転居されるか、お亡くなりになるか、それでしか部屋が空かない。
満室・・・満室・・・そりゃそうだ。 みなさん、あちこちの施設を仮予約されているんだし。
一部屋空いてますよ、と言われても、入所してらっしゃる方がわりに重度な方が多ければ、母みたいに動けるものが入っても浮いてしまって馴染めず、孤独感を感じるに違いない・・・。

こ、、、これは、長期戦かっ!!?? 
ひぃーーー。 ぶっ倒れそうだ。

obaacyan02.gif 理恵 2019.2.16
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プロフィール

理恵さん

Author:理恵さん
理恵さん(53歳♀)                              夫テツ(同い年♂)                                 ショウゴ (23歳♂)
うーた(大3♂)

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